追加投資の面談で、お客様にこう聞かれることがあります。「せっかく買い増すなら、成績のいいファンドに入れた方がいいですよね?」
直感的にはその通りに見えます。でも私の答えは逆で、「いま下がっている方を買いましょう」とお伝えすることが多い。今日はその理由を、歴史の実例と一緒に説明します。
「成績のいい方に乗り換え」は高値掴みの構造
過去1年のランキング上位ファンドに乗り換える——この行動を分解すると、こうなっています。
- いま高くなっているものを買い(高値掴み)
- いま安くなっているものを売る(安値売り)
投資の大原則「安く買って高く売る」の正反対です。さらに投信の乗り換えには売却と購入で手数料がかかる場合があり、往復のコストで確実に目減りします。「乗り換えた瞬間に数%のマイナスからスタート」——これが乗り換え投資の実像です。
歴史の実例——主役は循環する
1990年前後、世界の株式市場の主役は日本株でした。「全世界株式」の中身も日本株が大きな割合を占め、直近の成績で選ぶなら日本株一択に見えた時代です。その後どうなったかは、ご存じの通り。
逆に、当時「出遅れ」に見えた米国株(S&P500)は、その後の数十年で世界の主役になりました。資金は同じ場所に居続けず、割高になったところから割安なところへ循環します(セクターローテーション)。直近の成績が良い=これからも良い、ではないのです。
いまのAI・半導体への資金集中と安定株の出遅れも、この循環の一場面です。構図の詳細はAI相場で「安定型」が売られる理由で解説しています。
実例:マイナス9%のファンドを「あえて」買い増す
実際の面談での実例です。追加投資の商品を選ぶ際、直近1年で約▲9%になっていた割安株系のファンドをあえて選びました。理由は3つ。
- 中身の企業の業績は崩れていない——下がっているのは人気であって、実力ではない
- 同じ企業を1年前より約1割安く買える——スーパーの特売と同じで、良品が安い時に量を仕込む
- ポートフォリオの比率が戻る——下がった資産を買い足すことで、崩れた配分が元に戻る(追加資金でのリバランス)
お客様も「じゃあ今はお買い得ってことね」と納得して買い増しへ。数年後に効いてくるのは、たいていこういう地味な判断です。
ただし「何でも逆張り」ではない——見るべき一線
下がっているものを買う前に、必ず確認すべきことがあります。
- 下がった理由が「人気」か「実力」か——業績や財務が壊れて下がっているもの(実力の毀損)は、安いのではなく「安くなるべくして安い」だけです
- 分散されたファンドか——個別株の逆張りは難易度が段違い。インデックスや分散されたアクティブファンドだからこそ、循環の回復に賭けられます
- 使う時期が10年以上先のお金か——循環が戻るには年単位の時間がかかります
よくある質問
Q. どうしても乗り換えたい場合の正しいやり方は?
A. 「利益が出ているものを売って、安いものを買う」なら理にかなっています。また売却せず、追加投資の配分だけで比率を調整する方法なら手数料のロスを最小化できます。
Q. 下がり続けたらどうするのですか?
A. だからこそ一括で突っ込まず、積立や数回に分けた買いで時間を分散します。そして「中身の実力」の確認は定期面談で継続的に行う——ここが伴走者の仕事です。
まとめ
「どのファンドが上がるか」を当てるのではなく、「循環の中でいま何が安いか」を見る——この目線の切り替えが長期投資の成績を分けます。お持ちのファンドが「人気落ち」なのか「実力落ち」なのか、中身の無料診断をしています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や売買推奨を目的としたものではありません。過去の実績は将来の成果を保証しません。投資には元本割れのリスクがあります。
