「老後2,000万円」のような貯め方の話は世の中にあふれています。でも、貯めたお金をどう受け取るかの話は、ほとんど語られません。

実はここが落とし穴で、同じ金額・同じ商品でも、受け取り方の設計だけで残る資産が数千万円変わることがあります。今日は「定率」と「定額」、2つの取り崩し方式を数字で比較します。

定額取り崩し——わかりやすいが、下落に弱い

「毎月10万円ずつ引き出す」——直感的でわかりやすい定額方式。ただし試算をすると怖い面が見えます。

2,000万円を運用しながら毎月10万円(年120万円)取り崩す場合、必要な引き出し率は年6%。運用が順調な年はいいのですが、相場が下落した年も同じ10万円を引き出すので、資産が目減りしたところから大きな割合を抜くことになります。

例えば資産が半分になる急落が来ると、年120万円の引き出しは実質12%の取り崩しに化けます。安く売る量が増える——積立のドルコスト平均法のちょうど逆回転が起きるわけです。過去の相場をなぞった試算では、2,000万円が16年ほどで枯渇するシナリオもありました。

定率取り崩し——資産の寿命が延びる仕組み

一方の定率方式は「残高の6%を毎年取り崩す」のように割合で決めるやり方です。

  • 資産が増えた年→取り崩し額も増える(多めに使える)
  • 資産が減った年→取り崩し額も自動的に減る(安売りを最小限に)

つまり相場に合わせて引き出しが自動調整されるので、資産の寿命が構造的に延びます。同じ2,000万円・同じ運用で、定額だと枯渇したシナリオでも、定率なら二十数年後も2,000万円台後半が残っていた——そんな試算結果もあります。理屈上、定率で取り崩す限り資産はゼロにはなりません。

弱点は、受取額が毎年変わること。生活費が固定の人には使いにくい面があります。

実務の正解は「組み合わせ」

実際の設計では、二択ではなくこう組みます。

  1. 土台の固定費は年金でカバー——公的年金という「終身の定額収入」が既にあるので、取り崩しに全部を頼らない設計にする
  2. 上乗せの生活費は定率で——変動を許容できる部分は定率にして資産の寿命を延ばす
  3. 数年分の生活費はあらかじめ現金化——下落局面では現金クッションから使い、資産の安売りを避ける

なお、取り崩し原資の置き場所として非課税のNISAをどう使うかは夫婦のNISA戦略の記事、そもそもの増やし方の設計は一括と積立の使い分けの記事をご覧ください。

よくある質問

Q. 定率の「率」は何%が適切ですか?
A. 古典的には「4%ルール」が有名ですが、運用対象・年齢・他の収入で適正値は変わります。取り崩し開始年齢が遅いほど、また運用の期待リターンが高いほど率は上げられます。ここは個別設計の領域です。

Q. 証券会社に自動の定率売却サービスはありますか?
A. 投信の定期売却サービス(定額・定率・期間指定)を持つ証券会社が増えていますが、対応していない場合は年1回など決めたルールで手動売却する運用でも十分機能します。

まとめ

資産運用のゴールは「貯めること」ではなく「使うこと」。あなたの資産額・年金額・生活費から、何%でいくら受け取れて何歳まで持つか——受け取り方のシミュレーションを無料で行っています。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。試算は過去の実績等に基づく一例であり、将来の成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。