「子どもに奨学金という借金を背負わせたくない。だから貯めたお金で学費を払う」——親心として、とても自然な考え方です。
でも、こういう順番もあります。低金利の奨学金をあえて借りて、手元のまとまったお金は運用に回し、そこから返済していく。実際の相談事例をもとに、この「順番を変える」設計を解説します。
前提:奨学金はとても低金利の借入
日本学生支援機構の貸与型奨学金(有利子)は、利率の上限が年3%と法定されており、実際の利率は直近では年1%前後の水準で推移してきました。金利のある借入としては、住宅ローンと並んで最も条件の良い部類です。
一方、世界株式への長期分散投資の過去実績は、期間の取り方にもよりますが年数%〜。「借りる金利」より「運用の期待リターン」が高い構造が成り立ちやすい——これがこの設計の土台です(もちろん運用リターンは保証されません。だからこその設計上の工夫を後述します)。
実例:解約金400万円を「学費に使わず」運用する
実際の事例のイメージはこうです(数字は丸めています)。
- 貯蓄型保険の解約返戻金:約400万円
- 大学費用として奨学金を借入:総額600万円強(月々の返済は約3.4万円×20年)
- 解約金400万円は使わずに長期の分散投資へ。数年の据置後、毎月の返済額ぶんを取り崩しながら返済に充てる
過去実績ベースのシミュレーションでは、返済に充て続けても運用リターンが上回り、返済しながら十数年後に1,000万円超の資産が残る結果になりました。つまり、学費の返済原資がそのまま老後資金に化ける設計です。
同じ400万円を「学費として即時に支払う」と、そこで消えて終わり。順番を変えるだけで、お金の一生がまったく違うものになります。
この設計の注意点——向き不向きがはっきりあります
① 運用が想定を下回るリスク。 返済期間の前半に大きな下落が来ると計画が狂います。対策として、生活費からも返済できる余力を残す・据置期間を設ける・取り崩し率を保守的にする、といった設計が必須です。
② 名義と贈与の整理。 奨学金の債務者は子、運用資産の名義は親、というねじれが生じます。親が子の返済を援助する場合、年110万円の贈与税の基礎控除の範囲内で計画的に行うなど、お金の流れの設計が必要です。
③ 心理的な向き不向き。 「借金がある状態」がストレスになるご家庭には向きません。数字の合理性と心の平穏は別物です。
奨学金を借りるなら「型」の選び方も大事
- 無利子(第一種)は条件が良い一方、借りられる枠が小さめ。枠が必要なら有利子(第二種)との併用が現実的です
- 有利子は「利率固定」と「利率見直し」を選べ、在学中は原則無利息。入学初年度の資金には入学時特別増額という上乗せ枠もあります
- 給付型(返済不要)や自治体・企業の支援制度は、使えるならもちろん最優先です
なお、いま学資目的で入っている保険が育っていないケース(特にドル建て学資保険)では、この設計に乗り換える価値が大きいことがあります。保険の実質利回りの確かめ方はドル建て保険の解約の記事をご覧ください。
よくある質問
Q. 子どもの名義で借金を残すことに抵抗があります。
A. 「子の借金」ではなく「家計全体の資金調達」と捉えるのがこの設計の考え方です。返済原資(運用資産)を親がきちんと確保した上で借りるなら、実質的な負担者は親のままです。最終的に親が返済を援助する前提なら、その旨を家族で共有しておくと安心です。
Q. 教育費まで投資に回すのは怖いです。
A. ここが誤解されやすいのですが、この設計では学費そのものは奨学金で確保済みです。運用に回すのは「すぐには使わないお金」であり、直近の学費を相場に晒すわけではありません。
まとめ
教育資金は金額が読みやすく時期も決まっているからこそ、設計の工夫が効く分野です。お子さんの年齢と現在の貯蓄・保険をもとに、「払う設計」と「借りて運用する設計」の比較シミュレーションを無料で行っています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。奨学金の制度内容・利率は執筆時点の情報であり、最新は日本学生支援機構等の公式情報をご確認ください。投資には元本割れのリスクがあり、過去の実績は将来の成果を保証しません。贈与税等の税務は税理士にご確認ください。
