「ドル建て保険を解約したいと伝えたら、担当の方にすごく引き止められて…どうしたらいいですか?」——最近、本当に多い相談です。
引き止め自体が悪いわけではありません。続けた方が有利な契約もあります。問題は、判断材料が「担当者のトーク」しかないこと。この記事では、自分で数字を出して判断する手順をお見せします。
まず「実質利回り」を計算する——電卓で3分
用意するのは2つの数字だけです。
- 総払込額——これまで払った保険料の合計(円)
- 解約返戻金——今やめたら戻ってくる金額(円換算)。保険会社に電話すれば教えてくれます
実際の相談事例では、21年間で総払込約504万円、解約返戻金約630万円でした。差額126万円の利益——一見よさそうですが、年率に直すとおよそ2%です。21年という時間の対価としてこの水準をどう見るか。同じ期間、世界株式の分散投資は年率でその数倍のリターンだったのが過去の実績です。
「増えているか」ではなく「時間あたりでいくら増えたか」で見る。これだけで判断の質が変わります。
引き止めトークの読み解き方
「ドル建ては堅い商品ですから」——堅さ(=変動の小ささ)と増える力は別の話です。そもそも為替リスクがある時点で円ベースでは元本保証ではありません。
「今やめたらもったいない」——もったいないかどうかは、残りの期間で何%増えるかと、乗り換え先で何%期待できるかの比較で決まることです。過去に払った分は判断材料になりません(サンクコスト)。
「これから増える時期なのに」——本当にそうなら、増加ペース(年率)を書面で確認しましょう。設計書の予定利率と実際の円換算利回りは別物です。
担当者は自社商品を継続してもらう立場にいる、という構造も頭に入れておいてください。中立な第三者の試算と突き合わせるのが健全です。
円安の今、解約に有利な事情が2つ
① 為替がプラスに働く——ドル建て保険の解約返戻金はドルで決まるので、円安の今は円換算額が膨らみます。円高局面で入った契約なら、為替差益が乗っている状態です。
② 税金ゼロで解約できる範囲が広い——個人契約の解約益は一時所得扱いで、特別控除50万円があります。利益(返戻金−総払込)が50万円以下なら税金はかからず、超えても課税対象は(利益−50万)の半分だけ。まとまった契約は、年を分けて減額・部分解約する方法もあります。
なお、契約から一定年数を過ぎていれば解約控除(早期解約のペナルティ)が消えている契約が多いのもチェックポイントです。解約控除の仕組みは変額保険の解約控除の記事で詳しく解説しています。
解約後の受け皿まで決めてから動く
解約はゴールではありません。戻ってきたお金の行き先(新NISAでの分散投資、教育資金、老後の取り崩し原資など)を決めてから動くこと。「解約してから考える」と、結局普通預金で寝てしまい、保険に入っていた時より資金効率が下がる本末転倒が起きがちです。
よくある質問
Q. 死亡保障がなくなるのが不安です。
A. 保障が必要なら、掛け捨ての保険で必要な分だけ持つ方が合理的なことが多いです。「保障」と「運用」を1つの商品で兼ねるより、分けた方がそれぞれ効率的に選べます。
Q. 担当者に悪くて言い出しにくいです。
A. お気持ちはわかりますが、ご自身とご家族のお金の話です。判断材料(実質利回りの計算)を持って「数字で決めました」と伝えるのが、お互いに一番すっきりする形です。
まとめ
続けるのが正解の契約もあれば、やめて乗り換えるのが正解の契約もあります。決めるのは営業トークではなく数字です。お手元の証券と直近の解約返戻金額があれば、実質利回りの計算と乗り換えシミュレーションを無料で行います。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の解約・乗り換えを推奨するものではありません。税務の取り扱いは契約形態により異なります(法人契約は別の扱いです)。実行前に保険会社への確認と、必要に応じて税理士へのご相談をおすすめします。
