個人事業主や小規模法人の役員なら、税理士から一度は勧められる「小規模企業共済」。掛金が全額所得控除になる節税効果は本物です。
ただ、加入者からよく聞く不満が2つあります。「ほとんど増えない」「お金が長期間ロックされる」。この2つの弱点、実は制度に最初から用意されている一般貸付という仕組みでかなり解消できます。
小規模企業共済のおさらい——節税は強いが、増えない
小規模企業共済は、経営者・個人事業主のための退職金積立制度です。掛金は月1,000円〜7万円で、全額が所得控除。所得の高い事業主ほど節税インパクトは大きく、加入自体は多くの場合合理的です。
一方で、共済金の予定利率は低く、運用商品としてはほぼ増えません。さらに、任意解約は掛金納付期間によっては元本割れがあり、「入れたお金が20年、30年寝る」ことになります。節税の対価として資金の自由を差し出している——これが共済の実像です。
一般貸付——掛金の7〜9割を金利1.5%で借りられる
ここで知っておきたいのが契約者貸付(一般貸付)です。
- 借入可能額:納付した掛金の範囲内(納付期間に応じておおむね7〜9割)
- 金利:年1.5%(執筆時点)
- 手続き:担保・保証人不要。審査らしい審査もなく、短期間で借りられます
たとえば掛金を約430万円納付していれば、390万円前後を金利1.5%で引き出せる計算です。所得控除の節税メリット(所得税+住民税で人によっては年20〜30%相当)を受け続けたまま、資金だけ手元に戻せる——「借りる」というより「自分の積立を取り出す」感覚に近い仕組みです。
使い道①:融資に向けた手元資金の増強
新店舗や設備投資で金融機関から大きな融資を受けたいとき、自己資金・手元流動性の厚さは審査の重要な材料になります。共済に眠っていた資金を貸付で手元に戻し、保険の解約返戻金などと合わせて手元資金を厚くしておく——実際の相談事例でも、約500万円の手元資金を整えてから数千万円の設備融資に臨む、という組み立てをしています。
大事な注意を一つ:融資審査では資金の出所を正直に説明してください。共済からの貸付は隠すようなものではなく、「計画的に積み立てた自分の資産」として堂々と示せるものです。
使い道②:低金利で借りて、長期運用に回す
金利1.5%で借りたお金を、長期の資産運用(期待リターンが年数%以上の分散投資)に回すという考え方もあります。共済の中で寝かせておくより、金利コストを上回るリターンが期待できるなら資金効率は上がります。
ただしこれは「借金で投資をする」ことに他ならないので、向き不向きがあります。
- 返済原資が事業収入で安定している
- 運用先は短期売買ではなく10年単位の分散投資
- 相場が悪くても返済に窮しない金額に抑える
この3条件を満たせない場合はおすすめしません。退職金づくりの王道の順番は、役員退職金の準備の記事で解説しています。
よくある質問
Q. 借りたままだとどうなりますか?
A. 期限までに利息を払いながら借り換え(継続)ができます。ただし延滞すると遅延利率がかかり、最終的には共済金から差し引かれます。返済管理だけはきちんと。
Q. iDeCoや経営セーフティ共済とはどう使い分けます?
A. 節税の器はそれぞれ性格が違います(iDeCoは60歳まで引き出せない代わりに運用で増やせる、セーフティ共済は損金+40ヶ月で全額戻る等)。所得・事業の状況によって最適な組み合わせが変わるので、全体設計として相談いただくのが早いです。
まとめ
小規模企業共済は「入って終わり」ではなく、貸付まで含めて使い倒して初めてフル性能が出ます。共済・保険・運用・融資準備をまとめた資金繰り設計、無料セミナーと個別相談でお手伝いしています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。貸付条件・金利・共済の制度内容は執筆時点の情報であり、変更される場合があります。最新の条件は中小機構の公式情報を、税務は顧問税理士をご確認ください。借入を伴う投資は損失が拡大するリスクがあります。
