「もし社長のあなたが、明日から意思表示できなくなったら——会社と家族は、あなた名義のお金を動かせますか?」
縁起でもない話に聞こえますが、認知症・脳卒中・事故による資産凍結は、経営者のリスク対策で最も見落とされている論点です。対策としてよく紹介される「家族信託」は有効ですが、費用がネック。この記事では、保険を使って実質無料で同じ機能を持つ方法を解説します。
「お金はあるのに使えない」——資産凍結の現実
本人の判断能力が失われると、銀行口座の解約や証券の売却、保険の解約といった手続きは、たとえ配偶者や子でも原則できなくなります。成年後見制度を使う手はありますが、家庭裁判所が関与し、資産の柔軟な活用は難しくなるのが実情です。
経営者の場合は影響がさらに大きく、個人資産だけでなく、法人契約の保険の解約・減額といった判断も止まってしまいます。介護費用や事業の資金繰りに「お金はあるのに使えない」状態が起きるわけです。
定番の対策「家族信託」——機能は強力、費用が難点
家族信託は、元気なうちに資産の管理権限を家族に移しておく契約で、凍結対策としては強力です。ただしネックは費用。初期費用の相場は信託財産の1〜2%程度と言われ、たとえば5,000万円の資産なら50〜100万円。専門家報酬や公正証書の作成費用もかかります。
不動産や自社株を含む包括的な対策としては価値がありますが、「金融資産の凍結だけ防ぎたい」というニーズには、正直オーバースペックなことも多いのです。
保険の「契約者代理制度」——無料で持てる解除弁
あまり知られていませんが、保険には契約者本人が手続きできない状態になったとき、あらかじめ指定した家族が契約者に代わって解約・減額・引き出しなどの手続きをできる制度があります(名称や範囲は保険会社・商品によって異なります)。
ポイントは3つ。
- 追加費用は原則かからない——特約として無料で付加できる商品が一般的です
- 資産運用と兼ねられる——変額保険で退職金や老後資金を育てながら、その資産に「凍結防止機能」が最初から付いてくる形になります
- 法人契約にも使える場合がある——社長に万一のことがあった際、後継者や家族が保全の手続きを取れる設計が可能です(可否は商品・契約形態によります)
つまり「運用の器を保険にしておくと、家族信託が担う機能の一部が無料でついてくる」ということです。
家族信託と保険、どう使い分けるか
- 金融資産の凍結対策だけなら——契約者代理制度付きの保険でカバーできる範囲が広い
- 不動産・自社株を含む包括対策なら——家族信託(または任意後見)との併用を検討
- すでに保険で運用しているなら——いまの契約に代理請求の指定があるか、証券を確認するだけで対策が一歩進みます。指定していない契約は、手続き一つで追加できる場合があります
法人保険の出口設計(退職時に個人へ譲渡する方法)と合わせて考えると、「入口=損金、運用中=凍結対策、出口=個人の一生の保障」と、1本の保険に3つの仕事をさせられます。
よくある質問
Q. 代理人は誰を指定できますか?
A. 配偶者や子など、一定の親族の範囲で指定できるのが一般的です。範囲は商品によって異なるので、加入時に確認してください。
Q. すでに入っている保険にも付けられますか?
A. 契約途中から指定・付加できる商品も多くあります。まずは現在の契約に代理請求の仕組みがあるか、証券または保険会社への照会で確認するのが第一歩です。
まとめ
認知症対策は「なってから」では一手も打てなくなる、時間切れのあるテーマです。いまご加入中の保険に凍結防止の機能が付いているか、証券をもとに無料でチェックしています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。契約者代理・指定代理請求の名称、指定できる範囲、手続きできる内容は保険会社・商品により異なります。家族信託・成年後見との比較検討は、司法書士・弁護士等の専門家にもご相談ください。
