「退職後の仕事は決まっていないけど、退職したらまず2ヶ月は思いっきり遊ぶと決めています。退職金をどう使えばいいかも正直よく分からなくて…」

先日、長年勤めた職場を退職されたばかりのAさん(50代後半)から、そんな言葉とともに相談のご連絡をいただきました。

「何から相談すればいいか分からない」でも大丈夫

Aさんの第一声は「まだ具体的なことは詰められないけど、とりあえず現状報告だけ」というものでした。

実はこれ、退職直後にいちばん多いパターンです。「お金のことが急に不安になってきた」「でも何が不安なのかも整理できていない」——そんな状態でも、相談に来ること自体がとても大切な一歩なんです。

「残金を気にしながらお金を使ったことがなかった。でもここからは働いていないから、減っていく一方で…」

Aさんはこれまで、収入が安定していたこともあり、支出をあまり意識せずに生活してきたといいます。退職して初めて、「これからのお金」と真剣に向き合うことになったのです。

まず「今」と「65歳以降」を切り分ける

相談の中で最初に整理したのは、お金の時間軸を2つに分けることです。

165歳以降のこと

年金+これまでの運用で、ある程度の見通しが立つ。今すぐ心配しなくていい。

2退職〜65歳までの「橋渡し期間」

ここをどう乗り切るか。退職金をどう活用するかがポイント。

Aさんはすでに一定期間、資産運用を続けていました。その運用と将来の年金を合わせてシミュレーションすると、65歳以降については「このまま続けていけば、生活水準はある程度維持できそう」という見通しが見えてきました。

つまり、本当に考えるべきは「65歳以降」ではなく、「今から65歳まで、どう橋を渡るか」だったのです。

退職金は「全額投資」しなくていい

退職金が振り込まれると、「全部運用に回すべきか」と焦る方が多いですが、そうとは限りません。Aさんのケースでは、こんなイメージで整理しました。

退職金の使い分けイメージ

・当面の生活費・旅行費として使う分 → 安心して使う
・残りを運用に回す → 月々の収入の柱をつくる
・万が一の備え → 既存の運用資産がカバー

「まず遊ぶ分を確保して、残りで運用を設計する」この順番で考えると、気持ちがずいぶん楽になります。

「いくら稼げばいいか」から考えると道が開ける

運用から月々一定額を受け取る仕組みができれば、問いが変わります。「老後が不安」ではなく「あと月いくら稼げば生活が成り立つか」という、具体的な問いへ。

これが分かると、次の仕事やチャレンジしたいことを、お金の不安ではなくやりたいこと基準で選べるようになります。Aさんも「それなら、焦らず自分のペースで次を考えられる」と話してくれました。

相談の最後に、Aさんが言った一言

「言いたいことと聞きたいことは全部できました。2〜3ヶ月後にまた予約します」

まだ何も決まっていない状態で来ても、話すことで整理される。相談とはそういうものだと、改めて感じた面談でした。

退職後のお金の不安は、多くの場合「何が不安なのか分からない」というところから始まります。その霧を晴らすだけでも、気持ちはずいぶん変わります。

※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。資産運用にはリスクが伴います。個別の状況については専門家にご相談ください。掲載の事例は個人情報保護のため、内容を一般化して構成しています。